鎌田浩毅「地震と火山の国に暮らすあなたに贈る大人のための地学の教室」を読んで

2011年の東日本大震災が発生した当時、自分がいた横浜・関内のオフィスビルは、旧耐震基準のビルで、ミシミシと音を立てて、みるみる壁にクラックが入っていきました。この写真を見ると、「このビルは倒壊して、自分も死ぬのか」と恐怖を感じたことを思い出します。

 

それだけに、この本は興味津々で読みました。

鎌田浩毅先生の「地震と火山の国に暮らすあなたに贈る大人のための地学の教室」によれば、下表のように、平安時代と現代の地震と火山の噴火の発生状況が似ていると指摘しています。
平安時代(9世紀)震源現代(21世紀)
850年 三宅島2000年 有珠山、三宅島
863年 越中・越後地震新潟県中越地方2004年 新潟県中越地震(M6.8)
864年 富士山2009年 浅間山
867年 阿蘇山2011年 新燃岳
869年 貞観地震宮城県沖2011年 東日本大震災(M9.0)
874年 開聞岳2013年 西之島、2014年 御嶽山、阿蘇山
878年 相模・武蔵地震関東地方南部不確定「首都直下地震」(M7.3)
886年 新島
887年 仁和地震南海トラフ2030年代「南海トラフ巨大地震」(M9.1)
地震と火山の噴火の発生の発生状況(出典:鎌田浩毅「大人のための地学の教室」

地球科学的な視座に立つと、富士山はいつ噴火してもおかしくないスタンバイ状態にあり、日本列島にはそういうスタンバイ状態の火山が20ぐらいあるのだそうです。

噴火の引き金となる要素として、本書では、次の2つを挙げています。

  1. マグマだまりが巨大地震などで大きく揺すられること
  2. マグマだまりの圧力が抜けてマグマのなかの水が水蒸気になること

東日本大震災で日本列島の火山のマグマだまりは揺すられていますが、なぜか富士山はいまのところ持ちこたえています。上表のように、いくつかの火山は噴火しており、富士山も次の大地震がトリガーになる可能性は高いようです。

経済的な損害額は、首都直下地震が100兆円、南海トラフ地震が220兆円と試算されており、東日本大震災(50兆円)どころではない被害が続くとなると、ならず者国家に囲まれた日本の地政学リスクや日本の国家財政から、そのヤバさは深刻です。個人レベルで何をしておくべきか、改めて考えされられる一冊でした。



コメントを投稿

0 コメント