2009年5月7日木曜日

地球温暖化論VS懐疑論の両面から気候変動を捉える

地球温暖化に関する取り組みが毎日のように新聞の記事に載るようになった。

その一方で、ここへきて地球温暖化懐疑論に関する本も目立っています。片方の本だけ読むと、もう片方の理論が疑わしく思えてしまう。(そうやってメディアはマッチポンプ商売をしているわけだ。)

でも、両者の理論を読み比べてみると、
地球温暖化・・・というよりも地球の気候システムってわからないことだらけなんだ
ってことが認識できるようになった。

その読み比べができる資料が、エネルギー資源学会のウェブサイトにある。

地球温暖化:その科学的真実を問う」と題して、アラスカ大学の赤祖父教授、東工大の丸山教授などの地球温暖化懐疑論者と国立環境研究所の江守さんら地球温暖化研究の第一人者とのメール討論がPDFで掲載されている。

これは、地球温暖化に関心がある人にも、「地球温暖化ってホントのところ、どうなの?」と思っている人にも、一読の価値がある。

とはいっても、このメール討論は、ほとんど論点が噛み合っていない。だから、ポイントがわかりづらい。しかも、1対1の討論ではないのでなおさらだ。

そこで、「東工大の丸山教授VS国環研江守さん」に限って、私なりに論点を整理してみたい。丸山教授の論点は、
過去千年間でここ数十年のような気温上昇はなかったというIPCCの認識に誤りがある。もっと古気候をよく調べてみると、ここ数十年のような気温上昇が過去にもあった可能性がある。
だとすると、過去千年間のCO2濃度は百年前までほぼ一定のはずだから、過去の気温上昇の要因は温室効果ガスではないということになる。
というところにある。論点が噛み合わないのは、丸山教授が
過去千年間の気温がほぼ一定であったとする古気候(いわゆるホッケースティック)をベースとする気候モデルに問題がある。
と指摘したことに端を発している。これに対して江守さんは、
そもそもIPCCの気候モデルのパラメータに古気候のデータは含まれていない。
と反論している。気候モデルというのは、簡単に言えば、「地表面を立体的なメッシュで区切って気候をシミュレーションするもの」で、20世紀の気温上昇を再現するようにパラメータと数式を与えて創り出すものだ。

パラメータと数式を与えられるのは、「メカニズムがある程度わかっていて数値化できるもの」に限られる。したがって、
古気候データなんか使うわけない
という江守さんの反論は、私にも理解できる。この点については、丸山教授が誤解しているか、丸山教授の指摘の仕方が誤解を招いたかのいずれかではないかと思われる。ただ、丸山教授の指摘の背景には、
過去千年間でここ数十年のような気温上昇はなかったというIPCCの認識に誤りがある。 
もっと古気候をよく調べてみると、ここ数十年のような気温上昇が過去にもあった可能性がある。 
だとすると、過去千年間のCO2濃度は百年前までほぼ一定のはずだから、過去の気温上昇の要因は温室効果ガスではないということになる。
という考え方があり、それについては議論になっていない。もう一つの論点として、
縄文杉に含まれる炭素同位体δ13Cの量の変化を古気候の温度計として利用することができる
という丸山教授の仮説の妥当性がある。これに対する江守さん側の反論は、
炭素同位体δ13Cの量の変化は、個体の生育環境に左右される部分が大きく、それが古気候の温度計にはなりえない
というものだ。これについては、丸山教授が縄文杉の炭素同位体δ13Cの量の変化を年単位で測定し、それがここ最近の気温変化と合致しているかどうかを確かめるそうだ。

その結果が出るまでは仮説の域を出ないので、水掛け論になってしまうのは仕方ない。

とは言え、このメール討論は、懐疑論とその反論を読み比べることができるという点で有意義だ。

エネルギー・資源学会は、この続きをやるのかな??

2009年4月30日木曜日

地球維新塾Season2「地球環境の成り立ち」

今日の地球維新塾は、第2クールのまとめ

東工大の丸山先生の地球温暖化と寒冷化東大住先生の地球温暖化と気候モデル、東大田近先生の全地球凍結について、塾長の松井先生が補足、解説された。

丸山先生の講義のポイントは、「この50年の気温上昇が異常なのか?」という点。そこで問題になるのが、何をもって古気候の温度計とするのか。

丸山先生は、一本の縄文杉の年輪に含まれる炭素同位体δ13Cの量がそれに使えると考えて、まず近年の量を半年単位で計測し、それが実際の気温変化と合致することを検証しようとされている。

もし合致したら、それが古気候の温度計として使えると言えることになり、この50年の気温上昇が必ずしも異常とは言えないことになる。

住先生のところでは、地球温暖化の気候モデルで、どんなシミュレーションができるかは分かったが、「そもそも気候モデルとは何か」については、分かったような分からないような。

田近先生のスノーボールアースについては、「地球がどのような理由で全球凍結したのか?」「全球凍結後の生物の進化を考えると凍結の度合いにムラがあったはずで、そのムラがどのようなものだったのか?」など壮大なミステリーだった。 → 参考)凍った地球―スノーボールアースと生命進化の物語 (新潮選書)

このクールを振り返ると、つくづく「人間は現代の科学をもってしても地球についてはわからないことだらけだ」と思い知らされた。

さらに人間の技術をいくら駆使しても、地球のダイナミズムには勝てないことを痛感した。最も重要な真実は、
地球の資源量を越えるような人間活動は持続不可能である
ということだ。

2009年4月17日金曜日

東大の住教授による地球温暖化のシミュレーション(放射対流平衡モデル)

先週、地球惑星工学の第一人者:松井孝典先生のプライベートセミナー「地球維新塾」に参加した。講師は、東大の住明正先生。前回とは打って変わって「地球温暖化」の研究者だ。

前半は、「地表面の気温がどのように決まるか」について「放射対流平衡」モデルに基づいて解説された。 → 参考)地球の気候はどう決まるか?

後半は、地球温暖化懐疑論へのQ&Aだった。 → 参考)地球温暖化の真実

前回の丸山先生の講義で
気候に影響を与える要素には、温室効果ガスのほかに、太陽風(太陽黒点周期)、宇宙線、地球磁場などがある
とお聞きしていた。参加者の中からその点について質問があった。これに対する住先生の回答は、だいたい次のようなものだ。
太陽黒点の周期は一定であり、これまでも繰り返している。現在に限ったことではない。 
宇宙線により雲の量が変わるというスヴェンスマーク説は、まったく証明されていない仮説。現在の地球温暖化に対しては、温室効果ガスの影響が大きく、それ以外の要素は大きくないと考えられる。 
詳しくは、東北大学の明日香先生のレポート『地球温暖化懐疑論へのコメント』を読んでほしい。
前回の丸山先生の歯切れの良さが強烈だったせいか、私には咀嚼しづらかった。

2009年4月10日金曜日

東工大の丸山教授の地球温暖化懐疑論&地球寒冷化論

昨日の地球維新塾の講師は、東工大の丸山茂徳先生。

「地球温暖化懐疑論」を超えて「地球寒冷化論」の急先鋒として有名だ。もともとは「プルームテクトニクス」の提唱者として有名な地質学者である丸山先生が、なぜそんなことを言い出しているのか非常に興味があった。

丸山先生の論点を私なりに整理すると、↓こんな感じだ。

地球の気候を左右する要素は、大きく次の4つ。

  1. 太陽風
  2. 宇宙線
  3. 地球磁場
  4. 温室効果ガス

(このほかにも、火山活動とミランコビッチ周期も。)

このうち1、2、3に比べて4の影響は、わずか。
それを証明するために、炭素の同位体δ13Cと気温の経年変化の関係に注目。

樹齢2千年の杉に含まれるδ13Cの量を年輪ごとに抽出すると、その経年変化が分かる。

既に5年ごとのデータがあり、実際の気温の経年変化と近い傾向を示している。

現在1年単位での解析を進めている。この結果、δ13C濃度と実際の気温変化が合うことが立証されると、次のことも証明される。

  • 現在と同じような気温上昇は過去にもあった。
  • 150年前までCO2濃度が280ppmで安定していたことと①から、CO2濃度が気候に与える影響は、IPCCが想定するほど大きくない。

なお、現在は太陽黒点がゼロ(太陽風が弱い)、宇宙線の流入量が増加、地球磁場が減衰と、地球を寒冷化させる条件が揃っている。



というような感じだ。

丸山先生は、「科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている」という過激なタイトルのアンチ温暖化本が話題だ。だから、私は、この講義を聴くまで、丸山先生を商業主義的なアジテーター学者かと誤解していた。

しかし、言いっ放しのアジテーター学者とは違って、丸山先生は、自分の理論を実証するための研究に着手されている。その結果は、6ヶ月後に発表されるそうだ。

【追記】
この研究成果は、たぶんこれ → 屋久杉年輪安定同位体を用いた 1 年毎の古気候復元

2009年4月3日金曜日

地球維新塾で「地球環境の成り立ち」を学ぶ


地球物理学の第一人者:松井孝典先生の「地球維新塾」を受講してきた。

今日の講義は、「地球環境の成り立ち」。

「他の地球型惑星(金星、火星)と地球で大気環境はどう違うのか」 
「惑星はどのようにして生まれるのか」 
「惑星の成り立ちは、どのようにして分かるのか」 
「隕石から何が分かるか」
普段そんなことを考えたこともなかった。それだけに、もう脳みそフル回転で聞き入った。

今日の講義の中で特に印象に残ったのが、
「地球の水はどこから来たのか」
という命題だ。

これ、なんと特定できないんだそうだ!

地球の成り立ちについて、これだけいろんなことが分かっているのに、地球を地球たらしめている水のルーツが謎だなんて!

ちなみに、宇宙に地球のような惑星が現われるには、その核を形成する鉄のような重い元素が必要。

そう考えると、今後のほうが、宇宙に地球のような惑星が現われる可能性が高くなるのだとか。

そう考えると、この地球って何なんだろう?

今後の地球維新塾が楽しみだ。