独立してから、成功した経営者の本や講演に学ぶ機会が増えました。そこでは、いつも「前向きな心構えを持ち、願望を明確化せよ」と聞かされてきました。それだけに、神田昌典さんの「非常識な成功法則」の一節「成功は悪の感情から始まる」は、衝撃的でした。
やりたくないことを書き出す(吐き出す)
まず最初に思いついたのが、「嫌な仕事を嫌々やる毎日には戻りたくない」ということでした。
私は会社員時代、クライアントの「事業開発ごっこ」の資料作成部隊として1日14~15時間働くという毎日でした。
儲かっている大企業や投資会社などには、潤沢な事業開発予算があります。それが、ヘンな案件やヘンな担当者についてしまうと、出口のない「事業開発ごっこ」になります。そういう「事業開発ごっこ」を下請けすると、エンドレス残業生活になります。それが、まさに私の前職でした。そういう「事業開発ごっこ」を二度と仕事にしたくありません。
それは、「下請けロボットに戻りたくない」ということでもあります。
もっとダイレクトに言えば、「社犬に戻りたくない」ということです。
「社畜」という言葉にせず、あえて「社犬」という言葉を選びました。「社畜」は、ただ会社に餌(給料)をもらうためだけに働く人を指す言葉です。それに対し、「社犬」は、犬のように飼い主(クライアントや上司)の期待に応えようとして自分を見失っている人です。会社員時代の私は、まさに「社犬」でした。
その次に思いついたのは、「家族に心配をかける毎日には戻りたくない」ということでした。
フリーランスになってからは、毎月、定額の給料が入る生活ではなくなりました。収入が不安定になると、さすがに家族からは再就職してほしいと言われることになります。
つまり、それは、「経済的な不安は受け入れたくない」ということです。
もう二度と財布の中が空っぽの毎日は甘んじて受け入れない。
もう二度と銀行残高がなく経済的に不安な毎日は断じて許さない。
もう二度と税金や保険料の払えない生活には戻らない。
こうやって「やりたくないこと」を吐き出してみて、ようやく自分の判断基準が見えてきました。よくありがちな成功法則の「やりたいこと(願望)を明確化せよ」では、きれいごとしか思いつきませんでした。ところが、やりたくないことから書き出すと、きれいごとではない本音にたどり着けました。
このような「やりたくないこと」を見据えた上で、自分のテーマである「創る、残す、伝える」ことを生業にするにはどうしたらよいか?
ようやく「やりたいこと(願望)の明確化」のスタート地点に立った気がします。
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