欧州で施行されることになったCorporate Sustainability Reporting Directive:CSRDとは何なのか、日本企業にはどんな影響があるのかについての備忘録です。
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Corporate Sustainability Reporting Directive(企業のサステナビリティ報告指令)とは、ざっくりいうと、大企業に対して、その企業が扱う製品・サービスのサプライチェーン全体にわたって、ESGリスクを報告させるEU指令のことです。
直接的な対象は、欧州の大企業だけなのですが、間接的な対象は、サプライチェーン全体なので、欧州域外のサプライヤーにも及びます。欧州の大企業が販売する製品の素材や部品となれば、それは全世界に波及するはずです。
この指令により、欧州の大企業は、仕入先にESGレポートの提出を求めることになり、その仕入先もドミノ倒しのようにESGレポートの提出を求めるでしょう。
欧州委員会は、この指令にどんな効果を期待しているのでしょうか。
よく日本人はホンネとタテマエを使い分けると言いますが、欧州委員会のホンネとタテマエの使い分けっぷりは日本人の比ではありません。「サステナビリティ」というタテマエに対して、ホンネは何なのでしょう?
この指令のホンネは「脱中国」でしょう。サプライチェーンを最上流まで遡ってESGリスクを調べ上げていったら、ウィグル人の強制労働によって生産された素材や部品を使っているかもしれません。このようなグレーなサプライヤーをあぶり出すことを義務づけたら、中国企業から仕入れづらくなるはずです。
中国の「反スパイ法」で海外から中国への投資が引き上げられていくこのタイミングで、CSRDは追い打ちをかけるかもしれません。
日本企業は、ESGレポートの手間は増えるにせよ、中国企業ほどレポートに書けないようなヤバいことはしていないはずです。CSRDは、脱中国の文脈から日本企業にチャンスをもたらしそうですね。
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