日本では陸上風力発電に対して、活動家による反対運動に至ることがある。ところが、デンマークでは、普通に畑の中や家の近くに風車が建っている。この違いは何なんだろう?と思い、この本に興味を持った。
この本によれば、デンマークのロラン島では、住民や住民の組合が風車を買って建てているそうだ。建てた風車は、出力550kW程度なので、いま日本で建てられる風車に比べればだいぶ小さい。とはいえ、高い建物のないヨーロッパの田舎ではデカいことに変わりはない。自分の敷地に風車を立てた住民は、風切り音は聞こえても、低周波は感じないという。
ロラン島には、風力発電ではない昔ながらの風車もあり、風車に親しみがあるとのこと。昔ながらの風車と風力発電の風車では、見た目があまりにも違うではないかと思った。しかし、よく考えると、20世紀の風力発電機は、今よりもかなり小ぶりで昔ながらの風車よりも小さかった。その頃ならば、昔ながらの風車のおかげで、住民に好意的に受け入れられたかもしれない。その後、風車が徐々に大型化していったとしたら、住民が見慣れていくのもわからなくもない。
ロラン島では、住民や住民の組合が風車オーナーになっている点で、風車への心理的な距離がそもそも近い。日本でも10年ぐらい前は市民風車運動があったが、今はもうない。その理由は、間違いなく難易度の違いだろう。
ロラン島では、地上45mで平均風速12m/sもある。しかも、ロラン島の風車は平地に建っている。つまり、建設の難易度は低く、売電収入は大きい。
日本の陸上風力の適地は、ほとんどが山の尾根で、地上90mぐらいでもせいぜい平均風速7m/s程度だ。太陽光発電のように素人の手に負えるものではなくなっている。
風車を好意的に受け入れる背景に、ロラン島では原発の計画があったが、その反対運動があったことも挙げられている。
風力は発電量の季節変動が大きい。冬が多く、夏は少ない。デンマークでは、風力による発電量が少ない夏、ノルウェーからの水力による電気で補い、ノルウェーの水力は冬に凍って出力が落ちるので、デンマークの風力で補う。そんな補完関係があるのは、うらやましい。
日本も風力の発電量は、おおむね冬が多く夏が少ない。太陽光の発電量は、夏に多く、冬に少ない、しかし、日本の再エネ政策は太陽光偏重だったので、そんな補完関係は期待できない。
デンマークでは、陸上だけでなく、洋上にも風力発電を建設していったため、風力による余剰電力があり、それで水を電気分解して水素をつくり、地域熱供給に回してもいるとのこと。このあたりは、前述の通り、風力の難易度が高い日本では、参考にしようがないだろう。

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